本業を磨くことの大切さ
昨日、創業時に大変お世話になった社長に再会しました。
この社長は、飲食店を10数店舗運営していましたが、実は昨年に倒産、自己破産をしました。
1年半ぶりに会いましたが、当時のバイタリティーそのままに、一文無しから再スタート、すでに新しい会社を立ち上げていました。
使える人脈はすべて使って再起するところにすごさを感じます。
倒産した理由を聞きました。
飲食店は総じて調子が良かったのですが、景気が悪くなるのを見越して、もう一つの事業の柱が必要だと焦ったのがきっかけ。
3年前から、飲食店経営のノウハウを活かせる新たな事業に取り組み始めていました。
新事業は順調で、利益率も高く、新たな柱としてとても期待できる状態になりました。
ここまでは僕も知っています。
将来の柱となりそうな事業ができたと喜んでいました。
しかし、ここで、その事業にのめり込んでしまったのが大きな代償となったようです。
新事業を伸ばそうと無理なペースで事業拡大をし、結果そこに関わりっぱなし。
小規模だったころは利益が出ていたのに、規模を一気に拡大し、半年経った頃にはその事業が大赤字に。
さらに、追い打ちをかけるように、飲食店の調子が悪くなり、利益が減少。
最終的に、新事業の赤字が埋められなくなり、手を上げることになったと。
ビジョナリーカンパニー3にもありましたが、新規事業の開発はとても大事ですが、本業を磨く努力を怠ると企業経営は一気に厳しくなるようです。
社長の言葉が印象的でした。
飲食店は業者さんに売却し、今も運営は続いているのですが、ずっと黒字を出し続けていたお店も経営母体が変わった途端に赤字に。
そこの経営者から相談を受け、店舗をほぼ2年ぶりに見に行ったところ、愕然としたと。
「飲食店としての基本が何一つできていない。俺は気づかないうちにこんなお店を作っていたんだ。」
と悔しそうに語る姿に、僕も感じることが多くありました。
もっと本業を磨くことに集中し続けていれば、こんなことにはならなかったはず。
とはいえ、経営を考えると新たな事業の柱を気づくことも大事。
本業への情熱を失うことなく、次の準備をする。
バランスが大事なのでしょうね。
本業は十分磨いているという気持ちがいつの間にか奢りになり、それがビジョナリーカンパニーでいう「傲慢」につながるのかなと思いました。
自分では十分やっていると思っていても、一歩離れてみると「まだ出来たはず」ということになる。
自己満足や自分で限界をつくってしまうことが恐いですね。
とはいえ、再起するというのは素晴らしいこと。
今後もこの社長といい関係を続けていければなあと思いました。
それにしても、経営母体が変わった途端、2年以上毎月黒字を出していたお店が赤字になるというのもすごい。
業態もスタッフも全く変わっていないにもかかわらず。
気持ちの問題というのはとても大きいのですね。