新卒者就職応援プロジェクト
今月卒業予定の大学生や高校生の内定率は依然厳しいままです。
そんな中、中小企業庁の行う人材対策事業の一つとして、新卒者就職応援プロジェクト というものがスタートしています。
簡単に言うと、就職が決まらなかった学生が、中小企業で働くための技能や技術ノウハウを習得するために、6か月の職場実習(インターンシップ)を行うというものです。
実習生には、日額7,000円、受入れ企業には日額3,500円の助成金が支払われます。
ものすごく恵まれたこの制度、学生や企業ではどれくらい認知されているのでしょうか。
先日、ある大学の就職課を訪問した時に、ちょうどこの助成金の話になりました。
その先生のもとには、今回のプロジェクトの実施会社から就職の決まっていない4年生を紹介してほしいとの依頼があったそうです。
先生は正直戸惑っていました。
就職課としてこの時期、一番力を入れているのは、就職の決まっていない学生を何とか3月までに就職させること。
就職課に足しげく通ってくる学生には、出来る限りのサポートをして、一人ずつでも何とか就職にこぎつける活動をしています。
そんな状況の中、4月以降の企業実習の話をしたら、間違いなくモチベーションが下がってしまいます。出来れば避けたい。
就職への強い意志のある学生は最後まであきらめずに面倒を見たいと話していました。
ちなみに、まだこの時期でも内定を勝ち取る学生はいます。
つい先日、当社のクライアントで内定辞退があったため、いくつかの大学の就職課を紹介したところ、すぐに就職課の先生から4人ほど面接依頼がきたそうです。その中の1人に内定を出せそうだという話でした。
あきらめずにしっかりと活動していればチャンスも来るし、本気でサポートしてくれる人との出会いもあるのですね。
結果、この企業実習を勧める主な対象者となるのは、就職が決まっていないにもかかわらず就職課に相談に来ない学生たち。
もちろん、相談に来るよう呼びかけてはいますが、彼らの状況はしっかり把握できていないのが現状だそうです。
そんな学生たちに4月以降の企業実習の話をどこまで積極的にするべきか。
まだ努力を続ける4年生の就職相談の次に力を入れるべきは、就職活動が大きな山場を迎えてきている3年生。
とても就職課に来ない学生までは手も回らないし、頭も回らないというのが戸惑いの背景のようでした。
という状態なので、どんな学生がこの企業実習に参加するのか。参加者の意識レベルには少し懸念が生じます。
就職活動と真剣に向き合うことなく就職が決まらないという学生が多く参加するのであれば、実習を受け入れる企業としてもやりきれません。
しかし、何かがちょっと足りずに就職できなかったという学生が参加するのであれば、大きな気づきを得て、変わる可能性は十分にあります。
実習生を受け入れる企業側にとっては、新卒者に教育するという過程で、教育体制の構築や先輩社員の教育トレーニングにもつながります。
中小企業にとっては、使い方によっては、今回のプロジェクトは会社の組織改革の大きなきっかけにもなり得ます。
せっかく助成金を使って立ち上げている事業ですから、うまく活用できるといいなあと思います。