うれしい採用
以前にブログで書いたことのある設備メンテナンス会社で、先日、ようやく採用が決まりました。
1カ月で応募はたったの1件。
その1人が、まさに欲しかった人材だったのです。
2回面接して、本人もぜひこの会社で働きたいということで内定に至ったそうです。
この会社の社長が珍しくうれしそうに弾んだ声で電話してきました。
「いやー、よかった。お礼に飲みに行こう!」と
僕も本当にうれしい。
100人のエントリーがあっても、1名の採用に苦しむ会社がある一方で、1分の1です。
まさに採用は縁ですね。
この会社は、今回の採用如何によって、組織体制の見直しが必要となるところでした。
同社では、技術力の高い職人さんを外注先として抱えることで設備メンテナンスの仕事を取っていたわけですが、何年も前から職人さんとの力関係が微妙に変わってきていたのです。
先代が創業したころは、社員も職人も年齢が近く、同じように一致団結して頑張っていました。
同社の営業が仕事を取ってきて、職人さんに仕事を振り分けるわけです。
しかし、職人さんの年齢が上がる一方で、同社の社員は若返り、年齢差が出てきました。
技術のスペシャリストである年輩の職人さんと、現場がよくわからない若手社員。
もちろん社内にも技術者はいますが、外部の職人の方が多く、どうしても現場のわからない社員が対応することも出てきます。
そうなると、職人さんもわがままになります。
面倒な現場を避けたり、無理を聞いてくれなくなってきます。
昔はここのコミュニケーションや人間関係がうまくいっていたんですね。
結果、うまく仕切ることのできない社員にストレスがたまり、辞めてしまう。
そして、また若手を採用して、職人さんとぶつかる。
そんなことを繰り返していました。
さらに、景気が悪くなり、職人さんも同社専属ではなく、他社からも仕事を取るようになりました。
結果、社員の立場がもっと弱くなる。
とうとう、職人さんが誠実な対応(仕事)をしないといったことも起き始めました。
このままではお客様の信頼を失ってしまう、仕事が取れなくなってしまう。
という危機感から、自社で技術者を募集することにしたのです。
年商数億の設備メンテナンス会社にとって正社員の技術者を多く抱えることはリスクを伴います。
なぜなら、この手の仕事は毎月一定の仕事量があるわけではないからです。
年間の仕事量の大半が夏と冬の数カ月に集中するんですね。
だから、経営を考えると、外部の職人さんと連携して仕事を回す方がよいのです。
しかも、レベルの高い技術者が簡単に採用できるわけではありません。
同業の大手企業の方が待遇もいいため、よっぽど条件が重ならない限り、応募者すら来ないのです。
今回は、そんな中の採用だったのです。
仮に採用が出来なかったとすれば、未経験の若手を採用して育てるしかありません。
若手を育てて一人前にするには、4年も5年もかかります。
しかも人手の足りない中、最も忙しい夏場を迎えます。
育成や教育などの余裕はありません。
そう考えると本当にギリギリの採用でした。
とりあえず一息つきましたが、これから今後の採用戦略を考えなければなりません。
今のままでは、目の前の危機を乗り越えただけで、問題の本質は残ったまま。
長期的に技術者を育てるための組織作りに着手すべきです。
そこに踏み込めるかどうかが、同社にとっても当社にとっても経営課題ですね。