中小企業への関心の高まり
先日の日経新聞に、リクルートの転職サイト「はたらいく」に関する記事が載っていました。
「はたらいく」は1月に開設された中堅中小企業向けの転職サイトで、「千葉キャリ」とはカテゴリーが非常に近いサイトになります。
この記事によると、働く人の意識が「寄らば大樹」から「手に職」に変化してきているとありました。
成功事例として取り上げられていたのは、台東区の創業90年の和菓子店。
「昔ながらの味を守り続ける職人の後継者を募集します」
そんな求人を見て応募してきたのは、約100名。
中央官庁の公務員や会社役員、就職活動中の大学生など応募者は様々だったそうです。
この会社では全員と面接して、14名を採用しました。
これまで求人サイトを利用したことのない中小企業がこれほどの反響を受けると、さぞかしびっくりしたのではないでしょうか。
人材難にあえいでいた中小企業に、キャリア官僚や会社役員が応募してくるわけですから。
この成功事例を見て、やはりサイトは違えど、求職者の反応には似たような傾向がでているなあと感じました。
1つは、応募者の経歴が高くなっていること。
千葉キャリでも数年前から、中小企業への応募者の経歴がどんどん高くなってきています。
それこそ、誰もが知る名だたる会社の出世コースにいたような人が、知りもしない中小企業への転職を希望する時代なのです。
大きな組織への興味が薄れていることに加えて、職住近接にしたいという意向から中小企業に目を向けるケースも多いですね。
もう1つは、「創業●●年」とか「●●職人」、「●●の後継者」、「幹部候補」といった特徴のある求人に応募が殺到することです。
求職者の意識がよくわかりますよね。
創業が古い ⇒中小でも安定しているのではないか
手に職がつく ⇒組織の人事に振り回されないのではないか
後継者、幹部候補 ⇒期待をかけられた役割につきたい
今までとは違う職業、人とは違う職業に就きたいという志向は確実に高まってきているようです。
これは、中小企業にとってはありがたいことです。
でも、求職者側にとっては、喜んでばかりもいられません。
なぜなら、すでに多くの人が、同じ志向になりつつあるからです。
要するに、中小企業であっても、特長のある会社の求人はこれまで以上に競争倍率が高くなっているということなのです。
下手をすると、大手企業以上に採用に至るのは難しいかもしれません。
応募する側はそのことを事前に認識した上で自己アピールを考える必要がありますね。
この和菓子屋さんでは、100人に対して14人ですから、倍率は7倍です。
この時期に14人を一気に採用するというのが、中小企業にとっては異例ですからもう少し厳しい数字になるのが現状です。
例えば、2名の採用枠に対して、30名以上の応募というのは通常なのです。
だからこそ、採用する側が何を評価するのかを知っておく必要があります。
例えば、先ほど、経歴の高い応募が増えていると話しましたが、経歴は評価の対象なのでしょうか?
大手企業の確立された仕組みの中で力を発揮してきた人は、中小企業の経営者から見て魅力的に映るのでしょうか?
公務員としての長年の実績は中小企業の経営者から見て魅力的に映るのでしょうか?
ひょっとしたら逆かもしれませんよね。
仕組みの出来上がっていない環境の中で働くには、経験がネックになることもあるのです。
自分の強みだと思っていたものが、一転して弱みになってしまうかもしれない。
中小企業で働くには、そんな視点を持ってみることも大事ですね。
この記事では、「職のロングテール化」が始まったと締めくくってありました。
インターネットを介して、誰もが同じものを買う「大量消費」ではなく、多種多様な製品やサービスを買う「ロングテール消費」に変わったように、人材もインターネットを介して多種多様な職場に広がっているということです。
景気の問題だけでなく、求職者の志向がさらに就職競争を激化し始めているなあと感じました。
就職活動のための準備がますます大事な時代になってきましたね。