人材紹介会社の質の低下
先日、あるシステム会社に行ってきました。
この会社は、自社開発をしている会社で優秀なエンジニアを募集しているのですが、紹介をお願いしているいくつかの人材紹介会社の信じられないようなひどい対応について聞いてきました。
■ケース1
別の会社に在職中の転職希望者に年明けの入社ということで内定を出しました。
今担当している仕事は責任を持って終わらせたいし、同社としても円満に退社してから入社することを望んでおり、お互いの合意は取れていました。
しかし、内定後しばらくして人材紹介会社から同社に連絡があり、内定の日付を年内に修正して、採用通知書を送ってほしいとのこと。
その理由は、本人に「離職勧告」を行うためということでした。
僕は、紹介会社が転職希望者に離職勧告をするなんて話は聞いたことがなかったので、正直驚きました。
クライアントである企業のニーズも求職者の立場も無視したひどい話ですね。
■ケース2
紹介会社経由で求職者に内定を出しました。
給与面もよく説明し、全く問題はなかったはずだったのに、人材紹介会社から連絡があり、提示した年収では低すぎる、その求職者も困るだろうからもう少し年収を上げてほしいとの交渉がありました。
本人とは合意していると説明したにもかかわらず、「彼もそれでは納得できないと言っています」と紹介会社は強気の姿勢に出たそうです。
それなら内定を取り消しますと伝えたところ、担当者の態度が豹変。
「実はこの話は私が勝手に言いました。彼はこのことを何も知りません。なかったことにしてください」と平謝りしたそうです。
これも信じられないような話です。
年収を上げようとしてたのは、自分の売り上げを増やすため。
全くの自己都合ですよね。
■ケース3
同社では大きなプロジェクトのため、とても忙しい状況が続いています。
その中で、マッチングの可能性の低い面接は避けたいというのが本音。
ある紹介会社からものすごい遠方の求職者を紹介されたそうです。
どう考えても通えないから、面接を断ったそうなのですが、紹介会社がしつこく、「本人は通えると言っていますから、ぜひ会ってください」と。
何度も断った上で仕方なく、時間を作りました。
すると、面接に来た求職者が開口一番、「家から3時間もかかりました。これでは通うことはできません」と話したといいます。
この紹介会社とはすぐに取引停止にしたそうです。
■ケース4
ある人材紹介会社を通して面接不採用にした求職者が、別の紹介会社から紹介されてきたそうです。
その紹介会社に別の会社から紹介を受けて、すでに不採用にしてありますと伝えたところ、「本人からそれは聞いていたのですが、ひょっとしたらと思って」と返事したそうです。
呆れて何も言えなかったと話していました。
などなど、とんでもない話をいくつも聞きました。
システム会社の求人は増えてきたとはいえ、求職者の数に比べるとまだまだ足りない感があります。
同社でも複数の紹介会社に依頼をすると1日に10件以上の履歴書が届くそうです。
でも、これらの話を聞くとその中で行われているのは人材紹介ではなく、単なるデータマッチングであることも少なくないようです。
特にエンジニアの採用は、一般の求職者の採用と違って、必要とされる技術が明確です。
そのため、開発経験さえ持っていれば最低限の採用基準を満たしますので、紹介しやすいのは事実です。
しかし、求人企業や求職者の気持ちや希望はお構いなしというのでは、単なるモノ売りになってしまいます。
人材紹介業界も大変なのはわかりますが、目先の売り上げに気を取られ、サービスの質を下げてしまうと、この先痛い目を見ることは明らかです。
自社のサービスを見つめなおすいいチャンスになりました。