転職前に知っておきたい「みなし残業制」とは
ここ最近、電通の事件もあり、長時間労働や残業代に関するニュースが増えています。
そんな中、求人サイト「千葉キャリ」でも12月1日より求人広告の掲載ルールが変更になったので、そのご案内です。
変更になったのは、求職者にとって分かりにくい「みなし残業制」の中の「固定残業代」に関してです。
会社が「みなし残業」という時には、主に3つのパターンがあります。
1.裁量労働制
2.事業場外労働のみなし制
3.固定残業代
裁量労働制
裁量労働制とは、業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、労働時間の計算を実労働時間ではなく、みなし時間によって行うことを認める制度です。
より詳しくは、「専門業務型」と「企画業務型」に分かれるのですが、対象となる職種が決まっているという理解で良いと思います。
記者やデザイナー、証券アナリスト、弁護士、経営企画といった職種に限られます。
事業場外労働のみなし制
出張や外回りの営業のように事業場外でなされる業務は、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難になる場合がしばしば生じます。
労働基準法は、このような場合に合理的に対処するために、労働時間をみなし制により算定することができるようになっています。
とはいえ、今の時代、携帯電話があるので、事業場外での業務に指揮監督が及ばないとは考えずらいので、無効になる事例が増えているのが実情です。
固定残業代
固定残業代とは、企業が一定時間の残業を想定し、残業代をあらかじめ月給に残業代を固定で記載し、残業時間を計算せずとも固定分の残業代を支払うという制度です。
この中で、今月より千葉キャリで掲載ルールが変わったのが「固定残業代」について。
一見、残業してもしなくても、一定の残業代が貰えるのであればいい制度ではないかと思うのですが、正しく運営されていないケースが多く、問題になっていました。
どんな問題が生じているかいくつかピックアップしてみました。
超過した残業代が支払われない
たとえば、30時間の固定残業代が含まれたみなし労働制となっている場合に40時間残業しようが、50時間残業しようが、残業代が変わらないケース。
固定残業制という名のもとに、事実上残業代の上限が決まってしまっているわけです。
この場合、残業時間が30時間を超えたら、追加の残業代を支払わないと違法となります。
固定残業代の金額、時間が明確でない
固定残業制を取っている求人原稿には、固定残業代の金額・時間が明確に記載されていないケースが多々あります。
たとえば、月給23万5000円(一律残業手当含む)といったように。
これも上記と同じように、何時間残業しても23万5000円以上もらえないということになりがちです。
最低賃金を下回っている
固定残業代の金額・時間が明確に記載されていないというケースに近いですが、たとえば、月給18万円(30h残業手当含む)といった場合に、時給換算すると最低賃金を下回っているといったケースなどがあります。
中には、固定残業制とうたっていながら、一定時間に満たないと固定残業代が支払われないといったむごいケースもあったようです。
いずれも経営者が「固定残業制」をしっかり理解していないことが原因となることが多いですね。
ということで、働く人にとって不利益な広告となっては元も子もないですから、千葉キャリでは「固定残業制」を取っている企業の掲載ルールを厳格にしています。
①固定残業代の金額
②その金額に充当する労働時間数
③固定残業代を超える労働を行った場合は追加支給する旨
以上の3つを必ず明記することを掲載の条件としていますので、ご安心ください。
今後も求職者に信頼される求人媒体として、誤解のある表現、実態の正確な把握に努めていきたいですね。
面接に行ったら、掲載されていた求人内容と違うといったことがあれば、すぐに事務局までお知らせいただければと思います。