たった一人が会社を変える
先月千葉キャリが開催した「先輩力養成講座」に参加していただいた企業をフォロー訪問しました。
すると専務からとてもうれしい報告がありました。
研修後に会社が劇的に変わったと言うのです。
同社からは今回の研修には3名が参加。
社員が外部研修に出るのは初めてのことだったようです。
3名の中にTさんという35歳の営業係長がいて、参加者全体の中で最年少でした。
初めは、とてもおとなしくて弱々しい感じでしたが、恐ろしく素直な方だったのでものすごく印象に残っています。
2日間の研修を通じて、みるみる成長しているのがわかるくらい、講師の話をどんどん吸収していました。
発言の質がどんどん変わってくるんですね。
気づきを得るというのはこういうことかという感じでした。
聞いたところ、やはりこのTさんが、会社を変える存在になっているようです。
変えたと言っても会社に対して何かを働きかけたわけではありません。
行動と発言が変わっただけです。
研修の2日目の朝一番のプログラムに、日経新聞を読んで2分間スピーチをするというものがあります。
ちょっと驚いたのですが、Tさんは、35歳になる今まで、日経新聞を一度も読んだことがなかったそうです。
でも、2分間スピーチを終えた後の感想で、新聞にはいろいろな情報が載っていて面白かったと発言していました。
言葉に実感がこもっていて、本音で話しているなと感じたのを覚えています。
与えられた課題だからやるだけの人と、与えられた課題に精一杯取り組み、そこから気づきを得る人の違いなのかもしれません。
その研修から、1か月が経ちますが、以来、毎日、日経新聞を読んでいるそうです。
Tさんの性格を考えると、流し読みではなく、しっかり時間をとってじっくりと読んでいることでしょう。
同社では、毎朝朝礼があり、それぞれが発言するそうなのですが、新聞を読むことによりTさんの発言内容が全く変わってきたというのです。
それまでは目先の仕事の話しかできなかったのが、日常の記事を読み、感じたことや気づきを話すようになった。
その話がとても共感でき、Tさんに対する周りの見る目が変わってきたのですね。
それによって、他の社員も刺激を受けて、深い話を発表する。
結果、朝礼の質が上がってきたというのです。
今では、特に月曜日の朝礼で仕事の話など全く出ないそうです。
朝礼が本来のコミュニケーションの場としての役割を担うようになったということなのだと思います。
社内で自分の気づきや意見を言えるようになるということは、お互いの理解が深まるということでもあります。
会社の雰囲気が明るくなり、自然と一人一人のモチベーションが上がったと専務は驚いていました。
以前から行っていた同じ朝礼でも、朝礼の意味や質が変わったのですね。
これまでに、中堅社員研修や新入社員研修を通して、新聞を読むことの大切さを講師が説いてきていますが、何名がその大切さを感じ、行動を変えたのか?
理解しても行動しなければ研修効果はあまりありません。
Tさんは、感じて行動しました。そして、その行動を継続しています。
その姿勢には本当に頭が下がります。
多くの経営者が採用基準の一番にあげる「素直さ」の重要性を感じました。
何歳になっても素直であるということは、成長の源ですね。
研修事業をやっていてよかったと思う瞬間です。
本当にうれしい話でした。