大卒の内定率低下に思う
今年度の大学新卒者の就職内定率は57.6%と過去最低を記録しました。
このところ、この内定率低下に関連するニュースや報道が多く見受けられます。
メディアから主に伝わってくるのは学生の就活がいかに厳しいかという状況。
しかし、就活環境の厳しさばかりが伝わってくる今のメディアの論調に違和感を感じるのは僕だけでしょうか。
内定率が下がって大変だとは言いますが、採用の現場を見ていると、内定率が下がるのはある意味当たり前なんじゃないかと感じています。
というのは、そもそも「大卒」というブランド自体が一昔前と違い、崩壊しているのではないかと感じるからです。
例えば、大学の先生方と話していても、3ケタの足し算のできない学生がいるという笑い話がでるほど、学力の低下は顕著です。
また、一般入試での入学者は4割を割り込み、実質無試験で競争を経験していない学生も多い。
これまで企業が、「大卒者」に求めていた水準を満たしていない学生が増え、それによって分母が膨れているのですから、内定率は当然下がります。
中小企業では未内定の学生が大量に応募してくるにもかかわらず、採用難に陥っています。
その背景は、学生の学力低下や就業意欲の低さから、採用したいと思う学生がなかなか見つからないことにあります。
就職意欲を考えると大卒よりも高卒を採用した方がいいのではないかという意見が本気で出るくらいです。
企業が大卒に求めている水準を満たしていない学生が大勢いるという真実を受け止め、対応策を考えることが必要なのではないでしょうか。
ここに向き合わなくては、
いくら新規の求人開拓をしても、卒業後3年間は新卒扱いとしても、採用開始時期を遅らせても、
問題は解決しないような気がします。
関連するエピソードで、先日、ある社長が
「内定が取れないという学生が大勢いるけど、果たしてそのうちの何%の学生が新聞を読んでいるのだろうか?
新聞も読んでいない学生なんて採用するわけがないよね」
と話していました。
極めて常識的ですが、「毎日、新聞を読む」なんてことも、企業は新卒者に求めているし、期待しているのです。
もちろん、新聞を読んでいなくても採用する会社はありますし、新聞を読んだから採用されると言うものではありません。
しかし、例えば、「毎日、新聞を読む」というくらいの努力はしてほしいと思うのです。
雇用環境が厳しいのだから、優秀な人材から就職が決まるのは当たり前です。
厳しい競争に打ち勝たないといけないという事実、そして、その競争に打ち勝つために何をするべきなのか。
そういった議論や提言がもっとあってもいいのではないかなあと感じます。
学生を社会に求められている人材に育てるという前向きな議論、
それが、本当の意味で学生の就職活動を支援することになるのではないかなあ。
とりあえず、中小企業の採用活動の現場を見ている僕が言いたいのは、
「毎日、新聞を読むという努力はしてほしいなあ」ということです。