年齢の壁
企業に来るお問い合わせメールの中で、非常に多い質問が、
年齢が○○才なのですが、応募できますか?
という質問です。
このところ、この質問が増えているようなので、これについて少し書いてみたいと思います。
昔は、採用の際には必ずといっていいほど、年齢条件がついていましたが、今は、この年齢条件はほとんどありません。
2年前に雇用対策法が改正となり、企業は一部の例外を除き、採用時に年齢条件をつけることができなくなったのです。
行政機関や人材サービス会社では、この「年齢条件禁止の義務化」について幅広く企業に説明していますので、求人広告にも年齢条件が載ることがなくなってきました。
求職者の側にはまだ浸透しきっていないので、たまに混乱を招いてしまうようです。
この法改正により、年齢条件を気にすることなく応募ができるようになりました。
これは、とても喜ばしいことです。
ですが、手放しで喜ぶわけにはいかないというのも現実です。
なぜなら、年齢条件は禁止とはいえ、採用する側にとって、年齢を選考基準から完全にはずせるかといえば、そうとは言い切れないというのが本音だからです。
もし、自分が人事の立場だったら、同じスキルの人材が応募してきたら、若い人を選んでしまいませんか?
会社によっては、給与体系に年齢給が入っていたりします。
そうすると、年齢が高いというだけで人件費アップにつながります。
高年齢化の進む中小企業では、少しでも会社を若返らせたいという思いもあります。
そして何より、年齢が高くなると素直じゃなくなってきます(笑)
笑ってしまうような理由ですが、これが本当なんです。
実際に、経営者や人事担当者にどんな人材がほしいか?と聞くと圧倒的に多いのが、「素直」であることなのです。
自分の経験や実績に自負やプライドのある人ほど、新しい職場で新しいやり方や考え方を素直に受け入れるのが難しいものです。
特に30才を超えるとその傾向が強いというのが採用に携わる人間の共通認識です。
僕も間違いなく素直じゃない人の部類です。。。
勘違いしてはいけませんよ。
あくまで、性格が素直じゃないということではなく、新しい環境や変化を素直に受け入れられない傾向が強くなるということです。
と、これらが、年齢が選考基準の一つになり得るという理由です。
ですので、これまでの話をまとめると、冒頭の質問には、通常
「年齢制限は設けていないので、ぜひ応募してください」
という答えが返ってくるだけです。
それを踏まえて、まず、大事なことは何かというと、「応募の際には年齢のハンデがある」という現実をしっかり認識することです。
採用する企業側の心理を理解しておかないと戦えません。
そのことを認識した上で、年齢のハンデを克服するための自分の強みは何かということを考える。
先ほどの通り、同じスキルであれば、若い人を選ぶわけです。
それはあくまで、同じスキルであればということ。
だから、若い人よりすぐれている点をPRする。
年齢が高いことに負い目を感じているようであれば、その時点で負けてしまいます。
年齢は高いけれど、自分はこんな経験や能力を持っていますよ!
という強い気持ちが一番大事ということです。
経営者のほしい人材像として、「素直」というキーワードをあげましたが、もう一つ重要なキーワードがあります。
それは「使える」ということ。
※人事の視点なので、言葉は悪いですが。。。
年齢的な面でちょっと難はあるけど、「使えそうな人材だ!」
そう思わせることができれば勝つチャンスが大いにあるということです。
この視点を大事に、弱気にならず積極的にチャレンジしてほしいと思います。
門戸は開かれているのですから。