採用活動を行う経営者の葛藤
先日、住宅資材の卸売業を行っている会社を訪問してきました。
住宅市場が冷え込んでいるので、景気の影響を大きく受けていますが、堅実な経営で、比較的順調なようでした。
とはいえ、社員を増員するほどの余裕はありません。
今いる社員もこの1年間、ほとんど辞めていません。
でも、春前から長期的な採用活動に取り組むこととなりました。
なぜ、増員する余裕もなく、欠員もいないのに採用活動を行うのでしょうか。
それは、組織の新陳代謝を行いたいからです。
メンバーに全く変動がなくなると、組織が硬直化してきます。
経営者はこの硬直が嫌いなのです。
企業は生き物だと言いますが、常に環境に合わせて変化し続けなければなりません。
組織が硬直化してくると、この環境への適応スピードが鈍ってきます。
硬直化を防ぐために、人事異動や昇進や降格などが頻繁にできればいいのですが、中小企業では、部署異動はなかなかできません。
そもそも部署が少ないですし、人材を社内で流動させる余裕がないという背景があるからです。
そこで、採用活動がその解決策の一つとして上がるわけです。
パレートの法則というのがありますが、組織においても、この2:8の法則はよく言われます。
多くの経営者の実感値としては、2:6:2という感じになると思うのですが、おおざっぱに言うと、上位2割が優秀な社員、真中の6割が平均的な社員、下位2割が問題のある社員という分類になるのです。
パレートの法則という法則があるくらいですから、どんなに頑張っても、下位の2割がなくなることはないのですが、ここを入れ替えたいという気持ちが働きます。
入れ替えることで全体をボトムアップしたい。
そのために、積極的な採用活動に取り組むわけです。
経営者の本音としては、今いるメンバーにはずっといてほしい。
全員が頑張って成長してくれれば、会社も成長し、給与もアップします。
それが理想なのですが、そうならない現実があります。
下位の2割は会社の成長や変化についてこれません(きません)。
だから、組織の新陳代謝を促すために新たな人材を求める。
経営者はその葛藤の中でもがいているのです。
社長と話していて、その葛藤の中で最善の策を必死になって探っているんだなあと感じました。