新卒育成の難しさ
先日あるソフトウェア会社を訪問したところ、昨年入社した新卒2年目の社員が辞めることになったと聞きました。
定着率が非常によい同社では、入社3年以内に社員が辞めるのは極めて異例のこと。
社長に話を聞いたところ、さすがに少しショックを受けていましたが、
「早くに辞める決断をしてくれたことに感謝した方がよい」
と前向きに捉え、慰留はしなかったそうです。
何でもこの社員、社会人2年目になった今も、だらしなく伸びた髪は切らないし、スーツのズボンは腰ばきをするそうです。
何度注意しても聞かないとのことで、ほとほと困っていました。
お客様のところに連れていくのに抵抗があるほどで、社長以上に現場の上司や先輩から信用を失っていたようです。
社長に指摘されても、髪型や着こなしが自分のスタイルだと主張するため、何とか気づいてもらおうと社外の研修に何度も参加させたそうですが、それでもだめだったと。
この話を聞いて、新卒育成の難しさを感じました。
社長は、「入社前からだらしなさは感じていたが、入社後は直してくるものだと思った」と話していました。
学生の時と変わらないだらしない髪で4月1日に出社したときは、さすがにびっくりして指摘したそうです。
それから1年半変わらないわけですから大変です。
「何でそんな子採ったんですか?」と聞くと、
「ここまでひどいとは思わなかった。でも、採っちゃったからね」との答え。
社長の苦悩が伝わってきます。
こんな時はどうしたらいいのでしょうか。
さっさと辞めさせればよかったという意見も出そうですが、採用した責任として、一方的に辞めさせるような態度を取らない同社だから、離職率が低いとも考えられます。
思うに、一番初めが肝心だったのかなあ。
髪型、身だしなみが、お客様にどのような印象を与えるのか。
会社としてそれを許すのか許さないのか、毅然とした態度を見せるべきだったのではないかと感じました。
そこを曖昧にしたため、今さら注意をしても感じなくなったのかもしれませんね。
その結果、何よりも恐いのは、他の社員がこの新卒を信用しなくなったこと。そして、会社の対応に不信感を持っているかもしれないことのような気がします。
「叱り方」がとても大切ですね。
これは、僕の非常に苦手な部分でもあります。
考えさせられる話でした。
ちなみに、この社員が辞めるのと身だしなみは全く関係ありません。
(周囲との協調と言う意味では、間接的に関係はあるかもしれませんが)
営業職が合わないというのが一番の理由。
本人いわく、契約をとっても全く嬉しさを感じないんだそうです。
それも悲しいですね。