ファン採用は採用力を下げる
先日のふるさと就職応援ネットワークでの勉強会、人材研究所の曽和社長の話で、多くの中小企業がすぐに考え直したほうがよいなあと感じた点を1点共有。
それは、採用活動において志望度の高い人だけを集めるとだめだということ。
「志望度の高い人を集める」というのは一見、とてもよさそうなことなのですが、実は志望度の低い人にこそ優秀な人が多いもの。例えば、リクルートの採用活動においてSPIの点数をセグメントごとに分析すると、「採用者」よりも「辞退者」のセグメントの方が高くなっているそうです。
これは何となくわかりますよね。優秀な人材ほど他社からも誘われるし、選択肢が多いわけですから、逃した魚は本当に大きいということです。採用というと企業が選んでいる感覚がありますが、本当に欲しい人材には、逆に選ばれる立場だということを認識することが大事です。
ちなみにリクルートのすごさは、内定を辞退した人、また選考をスルーした人の動向をしっかり追いかけていることです。「辞退された」という出来事だけで終わってはだめ。なぜ辞退されたのか、どこに負けたのかをしっかり把握することで採用活動のPDCAを回さなければなりませんね。
「志望度の低い人を排除しない採用プロセス設計」のチェックポイントをいくつかピックアップ。
・最初の会い方はハードルが高くないか
・選考受験の条件を説明会参加としていないか
・目的なく持参書類を重くしていないか
・応募者を放置せずスピード選考しているか
・接触の場所はこちらから近寄っているか
思い当たることが多いのではないでしょうか?手書きの履歴書を必須としたり、選考の案内や選考結果の通知に時間をかけたり、採用に苦しんでいる中小企業あるあるですね。
手書きの履歴書必須など、筆跡で人柄がわかるなんてことも言いますが、求職者側の就職活動の現状を踏まえた上での採用戦略としては、時代錯誤も甚だしいということになりますね。
例えば、新卒採用においては、プレエントリーからリアル接触率が3割以下になっているようだと志望度の低い人は全部逃して、志望度の高い人だけを次の選考に進めてしまっている可能性があります。
志望度の低い人を逃さないように、チェックポイントを意識して、今までどおりの採用活動を根本から見直すことが大事ですね。