仕事のイメージと入社後のギャップ
先日、ある教育関係(塾)の会社を訪問しました。
この会社では残念なことに、今年の4月に入った新入社員が数名辞めてしまいました。
その理由は何だろうと社長と話していたところ、社長が感じていたのは入社前に新入社員が抱いていた仕事のイメージと実際の仕事内容に大きなギャップがあったのではないかということでした。
というのも、学生時代にアルバイトをやっていた子も多く、塾講師という仕事はとても身近に感じやすいものです。
また、やりがいもイメージしやすい。
生徒を指導して成績が上がった時、志望校に受かった時、一緒に喜ぶ姿がすぐ浮かぶと思います。
でも、現実は、非常にプレッシャーの厳しい仕事なのです。
生徒の親御さんは、子供が志望校に受かるように、試験で1点でも2点でも成績が上がるようにとの思いで、塾に通わせます。
だから、教える方は、露骨にその成果を問われるのですね。
日ごろの成果とは、まさに試験の結果が1点でもあがること。
このプレッシャーに負けてしまう子が多かったと話していました。
社会人である以上、成果の対価として給与をもらうわけですから、成果が求められるのは当たり前なのですが、これまで成果を出す、結果を出すということを追及されてこなかった学生が社会人になった途端に、厳しい成果の追及にあう。
ここに大きな壁、挫折があるのだと思います。
また、塾講師という仕事の難しさもあります。
自分だけが頑張っても成果は出ません。
時にはやさしく、時には厳しく、生徒をやる気にさせ、生徒に成果を出してもらわないといけない。
そして、営業であれば、上司や先輩から成果を追及されるわけですが、塾講師であれば、生徒の親御さん、いわゆるお客さんから直接、成果の追及を受けるわけです。
(もちろん営業も最終的にはお客さんから成果を追及されるわけですが)
事前にその心構えがないと確かに大きなショックを受けるかもしれませんね。
社長もそのことを痛感し、来年の採用からは、会社説明会でこの仕事の一番厳しい部分をしっかりと理解してもらうように工夫するということです。
採用する側にとっては、仕事のやりがいだけでなく、厳しさもしっかり伝えることがとても大事なことですね。
一方、社会人になる学生は、どんな仕事に就いても必ず成果を求められるんだということを理解する必要があります。
先日、日経新聞に大手企業が、新入社員に「社会人の自覚」を植えつけるために、入社の半年前から18か月の研修期間を設けているという記事が出ていました。
まさにこの部分です。
特に、ゆとり教育の世代になると、目標達成意欲が低いことが心配されています。社会人としての自覚を持たせることに1年半もかかってしまうのが、今の現実。
なぜ目標を立てるのか、なぜ目標を達成する必要があるのか。
そのことをしっかりと理解し、感じ、自覚すること。
これがすぐに仕事を投げ出してしまわないために必要なことだと思います。
この部分を学生に教えることが、大学や企業、そして人材サービス会社には求められてきているのではないでしょうか。