働くのは6時間だけ 「スタートトゥデイ」
先日、日経ビジネスに面白い記事が掲載されていました。
アパレル専門のECモール「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイでは、今年5月から全社で「6時間労働制」を導入したとの記事です。
対応できる部署から順次、午前9時~午後3時の6時間勤務に変更し、5月にはすべての部署が正式に移行を終えるとのこと。
昼休憩はなく、みっちり6時間働くことになるようです。
「無駄を省き、生活を潤す」のがこの制度の目的のようですが、非常に思い切った改革ですよね。
業務時間を徹底的に短縮する必要があるため、会議の必要性から見直し、コミュニケーションのあり方まで抜本的に改善をする。
その結果、パフォーマンスが落ちるどころか集中力が増すという好循環になったとの社員のコメントがありました。
どうしても何時までに終わらしたいという強い意志があれば、仕事のスピードは速くなるもの。
毎日、それだけの集中力と執念を持って仕事をしろということですね。
前澤社長は「すべての行動を1.25倍のスピードでやれば、時短は簡単に成功する」と語っています。
その通りだけど、簡単に言うなあ(笑)
これは、全社員がこの制度に主体的に関わってこそ実現するものだと思うから、余計にすごい。
ユニクロなどでも問題になっていましたが、早帰りDAYを設定しても、結局、電気や冷房が消えた後に仕事をすることになると否定的にとらえる社員が出てくるのも現実。
そうではなく、早帰りを実現するために必死になって行動する、仕組みを見直すという姿勢が大事なんでしょうね。
日本が培ってきた本来の家族経営の姿を体現したい、仕事とプライベートの垣根をなくし、従業員が親友のように仲良くなっていくことを目指す、というスタートトゥデイだからこそ実現したのかもしれませんね。
そんな前澤社長の目指す経営は、国民総幸福量 (GNH)型経営だそうです。
と、たまたま読んでいたリクルートマネジメントソリューションズの「職場に活かす心理学」のレポートとリンクしました。
ここでもテーマは、国民総幸福量 (GNH)だったのですが、「仕事の幸福感の関係性について」のレポート。
なんと、幸福であると感じる程度は、50%程度は遺伝によって決まるそうなのですが、次に大きな影響を与えるのが「意図した活動(40%)」、そして、「環境(10%)」となるそうです。
自らが起こした活動による幸福感は持続するのですね。
であれば、マネジメントにおいて重視すべきは、「どうすれば、メンバーが担当する仕事の意義を受け入れ、自らの意思でその仕事に取り組むようになるか」ということになります。
つまり、自分の意思によって活動していると思えるような仕事の任せ方やコミュニケーションのあり方が重要であり、特に仕事そのものに意義を見出しにくい場合は、加えて意義を伝えるための努力が必要ということになりますね。
このような視点からマネジメントを考えるのも面白いですね。
この制度を導入したこともすごいけど、この制度に一人ひとりが主体的に関わるマネジメントを行っていると考えれば、まさにGNH的な経営を実現しているんですね。