不毛地帯
山崎豊子が書いた不毛地帯。
5巻の大作なので、読み終えるのに1カ月ほどかかってしまいました。
伊藤忠商事の元会長の瀬島龍三氏がモデルと言われている小説です。
内容はウィキペディアなどにも出ているので詳しく触れませんが、こういう本こそ、新卒者に読んでほしいと思いました。
商社での詳細な仕事の内容を通じて、世界を股にかけて仕事をするスケールの大きさや夢を感じます。
一方で、政治家や金とまみれたドロドロの世界、権力や地位にしがみつく悲しい人間の性なども描かれています。
これをそのまま信じてしまうのは危険ですが、自分の仕事観や人生観を確立させていく上ではとてもためになる本ですね。
就活生のアンケートをみると、会社選びのポイントの上位にくるのは、毎年
「やりたい仕事ができる」という項目です。
でも、本当にやりたい仕事について考えられているのでしょうか?
就活で苦しんでいる学生を見ていると思いのほか、そこができていない気がします。
景気の影響で求人数が減っていることが、学生が就活に苦しんでいる一番の理由であることは間違いありませんが、仕事への夢や希望を見つけるためのインプットも足りていないのではないでしょうか。
本を読む、OBの話を聞く。
こんな仕事にチャレンジしてみたいと思えるような世界を見つけるまで徹底してインプットしてほしいと思います。
なぜそんなことを感じたのかというと、やってみたいなと思える仕事を見つけたとしても、その時にはもう遅いなんてことはよくあるからです。
僕は、この本を読んで、純粋に商社で働いてみたいなと思いました。
とはいえ、10年以上の社会人経験を通して、自分にはつとまらないことも十分感じていますのであり得ない話なのですが、それは抜きにして、仮に僕が本気で商社に行きたいと思っても、これから伊藤忠に入るのは99%無理なんですね。
そう思うと、早くから職業について考えるということはとても重要だと思うのです。
この小説の中には、商社で働くことを夢見て、大学時代は語学や経営の勉強など、商社に入るためだけに費やしたという登場人物も出てきます。
自分のやりたい仕事につくってこういうことなんじゃないかなと思います。
新卒の時にしか、窓口の開かれていない業種や会社は数多くあります。
ひょっとしたら自分の進みたい方向性を見落としてしまうなんてことも。
最近は、キャリア教育という言葉がありふれていますが、どんな人生を歩むのか、何の職につくのか、これは自分次第。
本や人と出会うことでどんどん気づきを得てほしいですね。