好き嫌いと経営
楠木建氏の「好き嫌いと経営」が非常に面白かった。
まえがきの運動エネルギーの話から引き込まれました。
簡単に要約すると↓な感じ。
ボールをある高さに持ち上げるとそのボールは位置エネルギーを得る。
ボールを離すと位置エネルギーは運動エネルギーに変化する。
ボールが落下するに従って位置エネルギーの量が減り運動エネルギーが大きくなる。
経営者においても同じ。
経営者というポジション自体が位置エネルギーをもたらすが、それは、
そのポジションに至るまでに費やしたありとあらゆる運動エネルギーが変化したもの。
この大きな位置エネルギーがポジションを獲得した途端、
エネルギー保存の法則にはまってしまうことがある。
それを「状態のリーダー」という。
要するに経営者のポジションにあること自体が仕事の目的になっている状態。
現在の状態を維持するために経営をしている状態ですね。
そうではなく、真の経営者は「行動のリーダー」でなければならない。
現実に商売を創り、戦略ストーリーを構想し、ストーリーを動かし、稼ぐリーダーであるべき。
仕事には、誘因(インセンティブ)と動因(ドライバー)があり、
位置エネルギーを獲得するに従って運動エネルギーを喪失する状態のリーダーは
この2つを混同している。
誘因に反応して経営者になったとしても、なってしまえば誘因の効き目は低減する。
残された誘因は獲得した状態を保持することくらい。
行動のリーダーのよりどころはその人を内部から突き動かす動因である。
その動員を形成するのは何か。
それはつまるところその人の「好き嫌い」であるという話です。
非常に説得力がありました。
自分は「状態のリーダー」になってしまっていないだろうか。
運動エネルギーを喪失しつつあるのではないかと反省。
いかん、いかん、こんなところで止まっている場合ではない。
運動、運動!
ということで、モチベーションの高まる1冊でした。
ちなみに、BBTでこの好き嫌いシリーズをやっていて、昨日、楠木氏と為末大氏の対談を見ました。
為末さんの好きの1つは「全力を出すのが好き」というものでした。
面白い。さすがアスリート。
共感できました。